ワイヤーDED方式金属3Dプリンター「Meltio」が切り拓く未来!材料特性から製造工程まで徹底解説

製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、近年注目を集めているのが金属3Dプリンターです。従来の切削加工や鋳造とは異なり、金属材料を積層して造形する「積層造形(Additive Manufacturing:AM)」と呼ばれる技術で、複雑な形状の部品を製造できることから、航空宇宙、医療、自動車など様々な分野で導入が進んでいます。

数ある金属3Dプリンターの中でも、特に注目されているのがMeltio(メルティオ)社が開発したDED(Directed Energy Deposition)方式を用いたワイヤーDED方式金属3Dプリンターです。Meltio社の金属3Dプリンター(以下「Meltio」)は、レーザーなどのエネルギー源を用いて金属ワイヤーを溶融し、ノズルから積層していくことで造形を行う技術であり、粉末材料を使用するPBF方式と比較して、材料の無駄が少なく、安全性が高いというメリットがあります。さらに、Meltio社はオープンプラットフォームを採用しており、様々なメーカーの金属ワイヤーを使用できるため、材料選択の幅が広く、用途に合わせた最適な材料で造形することができます。1種類または最大 4 種類の異なる材料で部品を造形できます。

1. 金属3Dプリンターにおける材料とは?

3Dプリンティングにおいて「材料」とは、製造に用いられる元素または元素の組み合わせのことを指します。材料は、部品の特性や性能を左右する重要な要素であり、用途や要求に応じて適切な材料を選択する必要があります。Meltioでは、金属ワイヤーが使用されます。

2. 金属材料とその特性

金属材料は、機械的強度、耐熱性、耐食性、電気伝導性など、様々な優れた特性を持つため、工業製品に広く用いられています。Meltioで造形可能な金属材料としては、以下のようなものがあります。

  • ステンレス鋼:耐食性に優れ、食品加工機器や医療機器などに用いられます。Meltioでは、SUS316L、SUS308L、SUS317-4PHなどのステンレス鋼が使用可能です。
  • 炭素鋼:強度と硬度に優れ、機械部品や構造材などに用いられます。Meltioでは、AISI 4130、AISI 4140、AISI 52100などの炭素鋼が使用可能です。
  • ニッケル合金:耐熱性や耐食性に優れ、航空機エンジン部品や化学プラントなどに用いられます。Meltioでは、Inconel 718、Inconel 625、Invarなどのニッケル合金が使用可能です。
  • チタン合金:強度と軽さを兼ね備え、航空機部品や医療インプラントなどに用いられます。Meltioでは、Ti-6Al-4Vなどのチタン合金が使用可能です。
  • 工具鋼:高硬度で耐摩耗性に優れ、切削工具や金型などに用いられます。Meltioでは、Tool Steel H11、Tool Steel H13、Tool Steel P20などの工具鋼が使用可能です。

3. 金属部品の製造工程

伝統的な金属部品の製造方法には、減法製造、成形加工、加法製造の3つがあります。

・減法製造:材料のブロックを除去することで部品の形状をつくります。減法製造のひとつでもある「機械加工」は、旋盤やフライス盤などの切削工具を使用して材料を除去し、部品を製造します。

・成形加工:機械加工のように切削によって材料を除去する代わりに、この工程では加えられる力を利用して材料を成形します。成形加工の例として「鍛造」という技術があるのですが、ハンマー、プレス、ローラーなどの工具を使用して、熱と圧力を制御しながら材料を成形し、目的の形状を得ます。

・積層造形:3Dプリンターで金属部品を製造することができ、希望の形状が最終的に得られるまで、材料を層ごとに押し出します。Meltioは、この積層造形に属しています。

Meltioを用いた金属部品の製造工程は、以下のようになります。

  1. 3Dモデルの作成:CADソフトウェアを用いて、造形する部品の3Dモデルを作成します。
  2. スライス処理:造形向きとパラメータを決定し、Gコードを作成します。
  3. 造形:Meltioの金属3Dプリンターを用いて、金属ワイヤーをレーザーで溶融し、ノズルから積層していくことで造形を行います。
  4. 後処理:造形が完了した部品は、必要に応じて、サポート材の除去や表面処理などの後処理を行います。

4. Meltio社によるDED方式のメリット

MeltioのDED方式は、従来の製造方法や、PBF方式、WAAM方式と比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 複雑な形状の部品を製造できる
  • 材料の無駄が少ない
  • 材料費の節約
  • リードタイムの短縮
  • 金属部品の修理

5. Meltio社の多種多様な材料と互換性のある材料

Meltio社は、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル合金、チタン合金、工具鋼など、様々な種類の金属材料に対応したワイヤーを提供しています。また、Meltioはオープンプラットフォームであるため、他社製の金属ワイヤーを使用することも可能です。これにより、ユーザーは用途に合わせて最適な材料を選択することができます。

・Meltioで使用できる材料の詳細はこちら

6. まとめ:Meltioが拓く未来

Meltio社の金属3Dプリンターは、材料の無駄を削減し、安全性と効率性を向上させることができる革新的な技術を提供します。複雑な形状の部品製造、材料選択の自由度、製造コストの削減など、多くのメリットを提供するため、航空宇宙、医療、自動車など様々な分野でその活用が期待されています。

Meltioは、今後も進化を続け、製造業の未来を大きく変えていく可能性を秘めています。

【Meltio 製品詳細】

 ・安全で簡単に造形できる金属3Dプリンター「Meltio M450」

・造形エリアも速度も大幅アップしたMeltio社の最新金属3Dプリンター「Meltio M600」

・導入後すぐに使える大型金属3Dプリンター「Meltio Robot Cell」

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※本記事は、Meltio社のウェブサイトおよび関連資料を参考に作成しています。

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