製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、近年注目を集めているのが金属3Dプリンターです。従来の切削加工や鋳造とは異なり、金属材料を積層して造形する「積層造形(Additive Manufacturing:AM)」と呼ばれる技術で、複雑な形状の部品を製造できることから、航空宇宙、医療、自動車など様々な分野で導入が進んでいます。
数ある金属3Dプリンターの中でも、特に注目されているのがMeltio(メルティオ)社が開発したDED(Directed Energy Deposition)方式を用いたワイヤーDED方式金属3Dプリンターです。Meltio社の金属3Dプリンター(以下「Meltio」)は、レーザーなどのエネルギー源を用いて金属ワイヤーを溶融し、ノズルから積層していくことで造形を行う技術であり、粉末材料を使用するPBF方式と比較して、材料の無駄が少なく、安全性が高いというメリットがあります。さらに、Meltio社はオープンプラットフォームを採用しており、様々なメーカーの金属ワイヤーを使用できるため、材料選択の幅が広く、用途に合わせた最適な材料で造形することができます。1種類または最大 4 種類の異なる材料で部品を造形できます。
3Dプリンティングにおいて「材料」とは、製造に用いられる元素または元素の組み合わせのことを指します。材料は、部品の特性や性能を左右する重要な要素であり、用途や要求に応じて適切な材料を選択する必要があります。Meltioでは、金属ワイヤーが使用されます。
金属材料は、機械的強度、耐熱性、耐食性、電気伝導性など、様々な優れた特性を持つため、工業製品に広く用いられています。Meltioで造形可能な金属材料としては、以下のようなものがあります。
伝統的な金属部品の製造方法には、減法製造、成形加工、加法製造の3つがあります。
・減法製造:材料のブロックを除去することで部品の形状をつくります。減法製造のひとつでもある「機械加工」は、旋盤やフライス盤などの切削工具を使用して材料を除去し、部品を製造します。
・成形加工:機械加工のように切削によって材料を除去する代わりに、この工程では加えられる力を利用して材料を成形します。成形加工の例として「鍛造」という技術があるのですが、ハンマー、プレス、ローラーなどの工具を使用して、熱と圧力を制御しながら材料を成形し、目的の形状を得ます。
・積層造形:3Dプリンターで金属部品を製造することができ、希望の形状が最終的に得られるまで、材料を層ごとに押し出します。Meltioは、この積層造形に属しています。
Meltioを用いた金属部品の製造工程は、以下のようになります。
MeltioのDED方式は、従来の製造方法や、PBF方式、WAAM方式と比較して、以下のようなメリットがあります。
Meltio社は、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル合金、チタン合金、工具鋼など、様々な種類の金属材料に対応したワイヤーを提供しています。また、Meltioはオープンプラットフォームであるため、他社製の金属ワイヤーを使用することも可能です。これにより、ユーザーは用途に合わせて最適な材料を選択することができます。
Meltio社の金属3Dプリンターは、材料の無駄を削減し、安全性と効率性を向上させることができる革新的な技術を提供します。複雑な形状の部品製造、材料選択の自由度、製造コストの削減など、多くのメリットを提供するため、航空宇宙、医療、自動車など様々な分野でその活用が期待されています。
Meltioは、今後も進化を続け、製造業の未来を大きく変えていく可能性を秘めています。
なお、2024年11月28日(木)にMeltio社の最新金属3Dプリンター「Meltio M600」のローンチイベントを開催いたします!
イベントでは、同社の急成長やMeltio技術の優位性、具体的な活用事例を詳しく紹介します。実機および造形品の展示や導入企業からの特別講演もあり、未来の製造技術を間近で体感できる貴重な機会となっておりますので、是非ご参加ください。
・安全で簡単に造形できる金属3Dプリンター「Meltio M450」
・造形エリアも速度も大幅アップしたMeltio社の最新金属3Dプリンター「Meltio M600」
・導入後すぐに使える大型金属3Dプリンター「Meltio Robot Cell」
・急速にシェアを広げるMeltioが実現する効率的な次世代の金属3Dプリンターとは
・Meltio社の最新金属3Dプリンター「Meltio M600」に搭載のブルーレーザーを深堀り
・ワイヤーDED金属3Dプリンターで成形サイクルの冷却時間を半減する方法 | 3次元水管金型を造形するメリット
・異種金属接合、バイメタルとは | 金属3Dプリンターでバイメタル部品を造形するメリットを造形品とともにご紹介
・PBF方式(粉末床溶融結合方式)とDED方式(指向性エネルギー堆積法)の用途やメリット、デメリットをご紹介
・金属3Dプリンターの造形方式と材料の種類、選定ポイントを解説
・金属部品の修理における金属3Dプリンターの活用方法と実践事例
・ダイキャスト金型のコンフォーマル(形状適応)冷却チャネルでの冷却性能評価とAMプロセス
・金属3Dプリンターとは?造形方式の種類とメリット、デメリットを解説
※本記事は、Meltio社のウェブサイトおよび関連資料を参考に作成しています。