Photocentric社の最新機種「Liquid Crystal Titan」は、700 x 395 x 1200 mmの造形を実現する、LCD方式において史上最大規模の造形サイズを誇る光造形方式3Dプリンターです。搭載された自動材料充填システムが、材料切れによって発生していた造形不良およびエンジニアの作業負担を削減します。
「Liquid Crystal Titan」ならびに先行機種の「Liquid Crystal Magna」は、1時間あたり最大で高さ16 mmの造形を可能にし、搭載された特許取得技術「ブローピール」によって、造形後に完成品を破損させることなくバットから簡単に取り外すことができます。さらに、特許取得済みのLCDスクリーンを光源とした技術で、広いエリアを高解像度で均一に照射し材料を硬化させることができるため、速い造形を可能にします。義肢のカスタマイズ製造や、射出成型金型等の大型サイズ部品の造形に最適で、ラピッドプロトタイピングや大量生産を実現します。
LCD方式は、プロジェクターを使い面光源で造形する方式であり、最大の特長は造形スピードです。トレイに光硬化性レジンを入れ、その下からプロジェクターを使用して面で光を照射し、プラットフォームに1層ずつ積層して造形します。スライスデータに則って面で一気に硬化できることで、造形スピードが速くなります。また面で硬化するため、硬化する造形物が1つでも、複数でも、同じ造形時間になります。Photocentricの3Dプリンターは光源にLEDを使用し、LCDパネルを通して、光をほぼ平行に照射します。面の全体が同時に露光されるため、非常に効率的です。
Voxeldance Additiveは、試作、靴型、歯科、ジュエリー、ヘルスケア、教育、金型、消費者製品など、様々な用途に対応する3Dプリンティングに最適なソフトウェアです。サポートやインフィル、ドレインの位置決めをはじめ、様々なオプションを追加できる機能を備え、自動ネスティングと解析機能により、最適な設計を提供します。これにより、前ソフトウェアと比較し3分の1もの材料の節約が可能になったほか、部品の造形を迅速に行うことができ、生産効率と造形の成功率が大幅に向上しました。
事前に複数のサポート形状が用意されているため、部品の材質と形状に応じて選択できます。サポートの間隔や部品とサポートの接触部分などのカスタマイズもできるほか、手動によるサポート生成も可能です。
造形領域を最大限に活用するため、部品を全自動でネスティングすることができます。サポートはネスティング前後で自由に生成でき、さらにネスティングされた部品を避けて生成することも可能です。
インフィルやドレインホールの追加など、部品のさまざまな要素を調整できます。高度なメッシュ修復ツールだけでなく、シェル化、スケーリング、押し出しも可能です。
様々なフォーマットで出力可能なスライスレイヤーに最終的な修正を加えることができます。このモードでは、部品の重なりやサポートの位置を簡単に確認できます。
Liquid Crystal TitanおよびLiquid Crystal Magnaには専用の洗浄装置と硬化装置がセットになっています。洗浄装置で余分な樹脂を効率よく除去し、硬化装置で造形物を強化することで、より滑らかな品質を実現します。
Photocentric Wash XLは、洗浄、すすぎ、乾燥の3つの機能を1台に集約しています。手動による洗浄も可能なため、よりきれいな仕上がりを実現します。
本体サイズ
1700 × 1300 × 2250 mm
重量
500 kg
Photocentric Cure XLは、二重波長光による均一な硬化と、360°回転するプラットフォームによる均等な熱分布により、寸法精度の高い滑らかな部品を実現します。
本体サイズ
1700 × 1700 × 2250 mm
重量
800 kg
大量生産用に設計。空気撹拌システムと、樹脂クリーナーを使用することで、効果的に洗浄することができます。
本体サイズ
990.5 × 400 ×620 mm
重量
56 kg
Photocentric の樹脂クリーナーは、Photocentricの機器で造形した部品を最適に洗浄できるように開発されています。
専用の樹脂クリーナーを使用した部品は、複雑な形状や手の届かない隙間もきれいに洗浄することができ、IPAでの洗浄に比べて表面を非常にきれいに仕上げることが可能です。また危険物に該当せず、交換の頻度も少ないため扱いやすいです。
樹脂クリーナー
左)IPA洗浄 右)樹脂クリーナー洗浄
LC Magnaのために特別に開発された、優れた高性能樹脂シリーズです。スクリーンにダメージを与えず、エネルギー使用量も少なく安全です。また、3Dプリントの信頼性も高く、より均一な硬化を実現します。波長が長いため、濃い色や粒子が多い配合の場合により効果的です。
ガラス繊維でできたナイロン6の強度と剛性を再現し、曲げたり変形したりすることなく、最高230℃の温度まで対応します。
主な用途:
・高温流体およびガスマニホールド
・金型とインサート
高い剛性と延性を兼ね備えた、高温にも耐える金型用途向けの硬質樹脂です。
主な用途:
・高温流体およびガスマニホールド
・金型とインサート
・耐熱ハウジングおよび治具
植物由来原料が50%。大幅にCO2排出量を削減する高性能硬質樹脂です。
主な用途:
・ラピッドプロトタイピング
・精密部品
・アライナー製造用の歯科模型
UL 94 V-0認証を取得したPhotocentric社初の難燃性樹脂で、グリーン状態でも自己消火性を示します。非常に高いHDTと伸び弾性率を持ち、航空宇宙、自動車、鉄道などの部品に最適です。
主な用途:
・電気筐体およびコネクター
・バッテリーハウジング
高い衝撃強度を持ち、非常に丈夫で長持ちする機能部品を造形します。
主な用途:
・たわみを最小限にする必要がある治具やフィクスチャ
・カバープレートとエンクロージャー
・留め具、ツール、カップリング
衝撃、圧縮、曲げ、応力疲労に対応し、破損や変形を起こさない、柔軟性の高い樹脂です。
主な用途:
・高温下でのたわみを最小限にする必要がある治具やフィクスチャ
・カバープレートとエンクロージャー
・留め具、ツール、カップリング
・強度と剛性に優れた試作
高エネルギーリターン、高伸度、引裂強度の組み合わせを必要とする用途に最適化されています。
主な用途:
・ミッドソール
・自転車のサドル、グリップ、ハンドル
衝撃吸収性、高い伸度、効率的なエネルギー減衰性、優れた引裂強度と非常に低い吸水性の組み合わせを必要とする用途に最適化されています。
主な用途:
・スポーツ用品
・スマートフォンケース
材料:Titan Black
造形時間:130 時間
サイズ:1.1 x 0.7 x 2.2 m
積層ピッチ:250 µm
重量:21.5 kg
材料:Titan Black
造形時間:60 時間
サイズ:0.6 x 0.4 x 1.2 m
積層ピッチ:250 µm
重量:2.6 kg
材料:Titan Black
造形時間:65 時間
サイズ:0.7 x 0.5 x 1.5 m
積層ピッチ:250 µm
重量:17.6 kg
材料:DL110
造形時間:27 時間
サイズ:※現在確認中
積層ピッチ:250 µm
重量:9.1 kg
材料:Titan Black
造形時間:32 時間
サイズ:0.6 x 0.1 x 0.6 m
積層ピッチ:250 µm
重量:1.7 kg
材料:Titan Black
造形時間:29 時間
サイズ:0.4 x 0.4 x 0.6 m
積層ピッチ:250 µm
重量:2.3 kg
イタリアの靴メーカーのGrisport社は、射出成形の技術を使用し、靴型を製作していました。しかし、より早く新製品を市場に流通させたいという課題を抱えていました。
そこで、Photocentricの光造形方式3Dプリンター「LC Magna」を導入し、同社の新材料「HighTemp DL401」を採用した靴型を製造することで、流通の迅速化とコストの削減を実現しました。HighTemp DL401はアルミ金型と同等の高温でも、安定した温度を保っており、これまでと同じプラスチック素材を用いた溶融プラスチックの射出成形を可能にします。LC Magna の 510 x 280 x 380 mmという広い造形エリアは、フルサイズの靴型を造形でき、またその造形速度は、従来の金型製作が4週間必要だったのに対し約14時間まで短縮。金型と同等の精度を保ったまま、これまでのおよそ50倍の速さになります。また靴型のランニングコストは、従来の約80万円から約4万円まで大幅に削減されました。
接着剤メーカー大手であるAdhesives Technology社は、ハンガーに必要な金型を製造するのに射出成形技術を用いていましたが、世界情勢などの影響により、射出成型による生産が中止に追い込まれました。そこで、3Dプリンティングの活用を試みましたが、通常、ハンガーを造形するには単価コストがかかりすぎます。
3Dプリンティングの先端企業であるMerit3D社は、2週間かけて金型の設計をPhotocentricのLC Magna用に最適化しました。Merit3D社の支援により、Adhesives Technology社は100万個のハンガーの注文に対応できるようになり、高価な射出成形金型が不要になりました。また、ハンガーを特定の用途に合わせたカスタマイズや、設計の反復が可能になりました。3Dプリンティングの技術を使用することで、廃棄物も削減され、二酸化炭素排出量の削減も実現。現在、20台のLC Magnaの活用により、1日24,000個のハンガーを製造しています。
大企業が射出成形技術から3Dプリンティングに置き換えたことは、今後の製造業の発展の可能性に大きく貢献しています。
Phone Skope社は野鳥観察、野生生物、微生物学、占星術など用に、スマートフォンのカメラで繊細な画像やビデオを撮影できるデジスコープアダプターを製造しています。アダプターには、毎年リリースされる膨大な数の新しいスマートフォンのモデルに合致するよう、精密に設計されていることが求められます。しかし、従来製法では新しいモデルごとに専用の金型を作成する必要があり、さらにせっかく対応させたスマートフォン自体が不人気であれば、生産そのものが失敗におわる可能性が常にありました。
3Dプリンティング技術の採用は、新しい金型を作成する必要がないままに、多様なアダプターを製造することを可能にしました。さらに1個から製造できるため、発注の最小ロットもありません。求められる精度と耐久性を維持したまま、製造時間とコストを削減し、低リスクで柔軟に新しいモデルにカスタム対応できることは、スマートフォン用アダプター製造の未来の可能性を広げました。