3Dプリンターで樹脂ペレットを活用するメリットと使用できる材料一覧

現在3DPCでは、約10種類以上の3Dプリンター(金属・樹脂)を取り扱っています。樹脂3Dプリンターの主な材料はフィラメントと呼ばれ、パスタの麺のような糸状の樹脂がリールに巻かれています。また、お米の粒のような形状をした樹脂ペレットも3Dプリンターの材料として使用されています。近年、この樹脂ペレットを採用している3Dプリンターに注目が集まっています。

本ブログでは、樹脂ペレットの概要から、3Dプリンターで樹脂ペレットを活用するメリット、3Dプリンターで使用できる樹脂ペレットの材料をご紹介します。

1. 樹脂ペレットとは

樹脂ペレットとは、プラスチック製品の製造や加工に使用される原料のことをいい、直径数ミリメートルの小さな球状または円筒状の形状をしています。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)など様々な種類のプラスチックから作られています。加えて、マスターバッチ※1 による色付けも簡単で色のついた製品を作ることができます。

※1 プラスチック用の着色剤です。機能性を付与する添加剤から、カーボンブラック、鉱物系フィラーまで高濃度・高分散させたペレット形状の製品のこと。

また、樹脂ペレットの取り扱いは比較的簡単です。理由としては、ペレットは流動性が高く、搬送や計量が容易なためです。ただし、ガラス繊維強化プラスチックや高温で溶融する樹脂ペレットについては、設備や技術を含め特殊な取り扱いが必要になる場合があります。

樹脂ペレットの取り扱いに関する一般的な注意点は下記のとおりです。

1. 保管:樹脂ペレットは湿気を吸収するため、乾燥した場所で保管する必要があります。特にナイロンやポリエステルのような吸湿性の高い樹脂は乾燥機で乾燥させることを推奨します。

2. 静電気:樹脂ペレットは静電気を帯びやすいため、静電気防止対策が必要です。これには、帯電防止剤の使用や適切なアース接続が含まれます。

3. 取り扱い:ペレットが床にこぼれると滑りやすくなるため、定期的な清掃が重要です。

2. 樹脂ペレットでつくれるもの

樹脂ペレットは、一般的にプランター容器や荷物搬送用のパレット、車両用ステップ、雨水貯留槽、医療用廃棄物容器、ポリ袋など幅広い製品に使用されています。

一方3Dプリンターでは、自動車部品や、PEEK素材の航空宇宙部品、医療部品、さらには建設や家具など、幅広い業界で樹脂ペレットが活用されています。

樹脂ペレットで造形された椅子

3. 樹脂ペレットを3Dプリンターで活用するメリット

3Dプリンターではフィラメントが主に使用されており、「造形解像度が優れている」「小規模の製造にも対応可能」「3Dプリンター製品の選択肢が多い」などといったメリットが挙げられます。

樹脂ペレットを3Dプリンターで活用するメリットは下記の通りです:

1. 材料費が安い

フィラメントと比較すると、一般的なABSやPLA材料は、5分の1~10分の1の価格で購入が可能です。さらに、樹脂ペレットはフィラメントに比べて大量に購入・保管が可能で、材料を多く必要とする大量生産や大型造形などにおいて非常に経済的です。

2. 多様な材料が利用可能

樹脂ペレットは材料の選択肢が幅広いため、特定の用途に応じた選択が可能です。一般的な材料を挙げると、ABS・PLA・PP・PCなどがあります。さらに、これら材料にカーボンファイバーやガラスファイバー、木片などを混合させた独自の材料を作ることも可能です。

3. リサイクル材料の利用

樹脂ペレットはリサイクルプラスチックを利用しやすく、持続可能な製造方法として注目されています。例えば、工場内で発生した廃材をペレット化して、治工具や試作品などを製造することで工場内循環が可能となります。

4. 大型造形に最適

大型造形においても、ペレット方式3Dプリンターは高速で大量の材料を供給できます。生産スピードもあがり、ペレットの供給が途切れることなく連続して造形が可能です。

3Dプリンターと樹脂ペレットで一体成形された世界初の帆船

下記ブログでは、樹脂ペレットだけでなくフィラメントの特徴から、それぞれのメリット・デメリットなどをご案内しています。

・3Dプリンターにおけるペレットとフィラメントの違い|メリットとデメリットも解説

4. 使用可能な樹脂ペレット材料一覧

3DPCが取り扱っている、ペレット方式3Dプリンターの「WASP」と「Heron AM」では、以下の樹脂ペレット材料が使用可能となっております。

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さらに、3DPCで評価実績のある材料:

5. ペレット方式3Dプリンターの紹介

3DPCでは、最大3mサイズの造形を可能にしたCaracol社の「Heron AM」と、海洋ごみや廃プラスチックなどから製品を造形した実績がある「WASP」の2種類のペレット方式3Dプリンターを取り扱っています。

次回のブログでは、「WASP」の魅力をお届けしていきます。

Caracol Heron AM

左から、WASP 4070 HDP、WASP 60100 HDP、WASP 3MT

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