2022-07-21

Markforged社3Dプリンター「X7」を活用した試作や治具製作で、ものづくりのスピードを加速

現在産業用の3Dプリンターが業務の効率化を大幅に助ける存在として様々な業界から注目を浴びています。

アズビル株式会社様の商品開発部 試作技術Grは、元々、試作相談窓口で依頼者に加工のアドバイスや納期の調整をしながら、治具設計から製作までを行っていらっしゃいましたが、2019年からは3Dプリンターを使ったものづくりを実施し、業務の効率化に成功しました。

アズビル様で使用されているMarkforged X7

こちらがアズビル様が使用されているアメリカの3DプリンターメーカーMarkforged社のIndustrial Series 3Dプリンター「X7」です。連続炭素繊維などを用いて、アルミと同等の強度を持ったパーツを製作することができます。造形サイズは大きく、本格的な少量・中量生産にも対応します。また、レーザー計測機能により、造形中に検査をすることで造形物の品質保証が同時に行える、産業用3Dプリンターです。

導入の背景:スピードの重要性と業務効率化

アズビルの商品開発部 試作技術Grの石川様は「私達の価値はスピードです。3Dプリンターに魅力を感じたのは、ものづくりを行なうスピード感で、切削加工で人が機械に張り付いていなければならない場合でも、3Dプリンターならどのような形状であれ自動で造形できます。その分、人が行う必要のある作業をして試作業務の効率化を図りたいと考えていました。」と述べています。

続けて、「コンシューマ向けの3Dプリンターを購入したことはありましたが、産業用の3Dプリンターを試作業務に活用する目的で初めて社内で提案したのは2016年4月頃でした。その頃は時期尚早と言われ、設備導入は見送られました。また、アウトソーシングで試し造形を行った2017年にも提案をしましたが、導入までは至りませんでした。2018年に社内ニーズ調査を行って費用効果を算出、アウトソーシングで3Dプリンターの効果を社内で理解してもらい、やっと導入することができました。」とお話しされていました。

運用方法と効果:治具製作・モックアップに活用。ものづくりに関わる人々の行動にも変化

X7を用いて治具がもっとも製作されています。切削加工で使用するチャッキング治具だけでなく、製品を組み立てる治具も作っています。

また、アズビルの商品開発部 試作技術Grの石川様は、「他にも新製品のモックアップ、図面のないワークの金型製作前チェックのためのモクアップ、新製品フィールドテスト品のセンサーカバーなどに使っています。」と述べられていました。

例えば、石川様は、部署内で使用しているフライス盤のハンドルが壊れた際に、X7を使ってハンドルを新しく3Dプリントし、壊れたものと交換されました。

機械自体が古くメーカーでも対応していないため部品調達することができない時であっても、3Dプリンターであれば生産が可能です。

作製方法

  • 設計方法

ノギスを使ってリバースエンジニアリング、そして3Dモデリングを実施。金属部と樹脂部は圧入狙いで回転止めはキー溝にした。

  • 使用材料

Onyxを使用。当初カーボンファイバーを入れようと思ったが、なるべくコストを抑えたかったのでまずはOnyxで造形すると決めた。

  • 作製時間・コスト

合計34時間で作製。作製を始めた翌日にはハンドルが使えるようになった。

製作時間

モデリング(リバースエンジニアリング)1 時間

ワイヤーカット段取り 1時間

加工 5時間

造形時間 26時間

組立 1時間

合計 34時間

上記の表からもわかるように3Dプリンターは短時間でのものづくりを可能にさせます。

壊れたハンドル

Markforged X7で作製したハンドル

3Dプリントしたハンドルを実際にフライス盤で使用している様子

今後の展望

現在、アズビル様は、治具、モックアップ以外に、最終製品にも適用していきたいと、3Dプリンターの新たな可能性を模索しています。アズビルの商品開発部 試作技術Grの石川様は、「社内のものづくりスピードのさらなる加速を目指したいです。」とお話しされていました。

3DPCは、3Dプリンターに関する専門的な知識を用いて、お客様のものづくりを今後も最大限お手伝いいたします。

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