『Heron AM』ローンチイベント開催レポート
樹脂3Dプリンター
February 28, 2025
Caracol社のロボットアーム式大型ペレット3Dプリンター「Heron AM」のローンチイベントを開催しました。全国各地の様々な業種の企業様にご参加いただき、盛り上がるイベントとなりました。今回の記事では本イベントのレポートをお届けします。
2025年2月20日、3DPC工場にてCaracol社のロボットアーム式大型ペレット3Dプリンター「Heron AM」のローンチイベント『効率化と環境配慮が生み出す次世代のものづくり』を開催しました。予定定員を超える全国各地の様々な業種の企業様にご参加いただき、盛り上がるイベントとなりました。今回の記事では本イベントのレポートをお届けします。
【イベント概要】
開催日時:2025年2月20日(木)15:00 - 17:00
開催場所:3DPC工場
参加費用:無料
主催者:株式会社3D Printing Corporation
3DPCの代表取締役 CEO アレキサンダー・デヴォアより挨拶を行いました。
3DPCのセールス担当の武田より、市場の全体像から、LFAM技術、Heron AMの設備、対応材料、造形事例まで、紹介いたしました。本レポートでは発表の一部を掲載しますのでぜひご覧ください。
3Dプリンター市場の変化と大型造形のニーズ
Caracol社の紹介に先立ち、3Dプリンター市場の全体像とトレンドについてご紹介しました。これまで、積層造形の主流はフィラメント、液体レジン、パウダーなどの材料でしたが、近年、大型造形の需要が急速に拡大しています。それに伴い、技術開発も進み、より高精度で効率的な3Dプリントが求められるようになりました。
Caracol社と「Heron AM」の技術
Caracol社は、イタリアで2015年に設立された企業で、産業用ロボットとエクストルーダーを組み合わせたLFAM技術(Large Format Additive Manufacturing:大型積層造形技術)を開発しています。
日本国内では、2020年頃からガントリー式のペレット式3Dプリンターが普及し、低コストでの大型造形が可能になりました。しかし、ガントリー式にはフレームのサイズに依存したXYZ軸の制約があり、造形サイズに限界があるという課題がありました。
Caracol社の技術は造形エリアの制限を受けず、無限に拡張できる点が大きな強みとなっています。Caracol社のHeron AMは、産業用ロボットとエクストルーダーを融合し、従来のガントリー式3Dプリンターと比較して大きな利点を持っており、イベントでは特に以下の4つのメリットをご紹介しました。
・無制限拡張
フレームの制約を受けず、造形サイズの制限がないため、より大きな造形物の製造が可能です。
・低い材料コスト
ペレット材料を使用することで、従来のフィラメント方式と比べて大幅にコストを削減できます。フィラメント化の工程を省略できるため、より経済的な製造が可能です。
・高い柔軟性
産業用ロボットを活用した6軸造形により、より自由度の高い設計が可能です。特に、造形物の表面を滑らかに仕上げることや、従来の3軸方式では発生しやすいディラミネーション(層間剥離)を防ぐことができます。
・6軸による複雑形状造形
ガントリー式では難しい複雑な形状の造形が可能で、製品のデザインや強度の最適化に貢献します。
「Heron AM」の設備と対応材料
<設備>
・産業用ロボット活用による高精度3Dプリント
Heron AMは、KukaやFanucの産業用ロボットを活用し、高精度な3Dプリンティングを実現します。
・エクストルーダーと冷却機能
Caracolのエクストルーダーは冷却機能を搭載し、材料(PLAやPETG系)によって起きる反りやゆがみによるデラミネーション、ダレや流れを防ぐための造形戦略として活用できます。
・柔軟な選択肢
CNCインテグレーションにより精度向上や量産対応が可能です。Automaticモデルは、天板なしで安定した積層ができます。
・材料供給システム
ペレットを自動的に乾燥機へ供給し、180℃までの温度で乾燥します。一定の湿度条件を維持でき、タッチスクリーン で自動除湿サイクルの設定ができます。
・安全設計と熱管理
分離機でゴミを除去し、チラーが450℃までの熱からモーターや電子部品を破損しないように保護します。
<材料>
基本的な対応材料は、PETG、ABS、PP、ASA、PC、PEI、PLA、TPEといった種類があり、これらのほとんどがCF(カーボンファイバー)やGF(ガラスファイバー)を含むコンパウンド材料です。Heron AMの造形方式であるLFAMは積層時の樹脂の大型化によって造形物が自重で潰れてしまうことがあるため、剛性や靭性を向上させるためのフィラーとしてこれらの強化材料が重要な役割を果たします。
造形事例
Heron AMは航空宇宙、エネルギー、建築・建設、産業機械、アート&エンターテインメント、自動車デザイン&家具、海洋、鉄道、工具製造など幅広い場面で活用されています。イベントでは課題と導入結果を踏まえた実際の造形事例と造形品の展示をご覧いただきました。下部の画像はHeron AMで造形された椅子です。
株式会社UCHIDAの取締役COOである落合隼平氏をお招きし、「Heron AM」導入の背景や決定理由、活用方法、そして今後の展望など、実際に導入された企業の貴重なお話を伺いました。
3DPCの工場に設置しているHeron AMおよび造形品をご覧いただきました。
下部の画像は専用ソフト「Eidos Manufacturing」で造形前のシミュレーションの様子を説明している様子です。実際の造形もご覧いただき、運用イメージを掴んでいただけたのではないかと思います。
イベント終了後は参加企業様同士のお話し合いで盛り上がり、地域や業種の垣根を超えた貴重な交流の場となりました。
また、参加企業様より「わかりやすく具体的なイメージが湧き、参加してよかった」など感想もいただきました。
Heron AMの製品詳細はこちらをご覧ください。
https://www.3dpc.co.jp/products/caracol-heron-am
工場見学受付中!
3DPC工場にて実際の装置や造形品をご覧いただける工場見学を随時開催しています。Heon AMをはじめ多種多様な3Dプリンターをご用意しています。今回イベントに参加されなかった企業様もぜひご参加ください。
機器導入は3DPCにお任せください!
機器に関するご質問のほか、ご希望の用途や素材に最適な機器を実際の運用を見据えた形でご提案します。お気軽にお問い合わせください。
「好きな場所で、好きな時に、作りたいモノを作れる未来へ」
私たちは、デジタルで製造業のサプライチェーンを変えていくことを目標に、世界最先端の3Dプリンターを用いて、お客様の製品の設計・開発から、製造・後加工・品質評価まで一貫したサービスを提供しています。設立から培ってきた豊富な経験と3Dプリント技術で、部品や製品の高付加価値化、納期の短縮、コスト削減などに貢献。また各所に適した機器のご提案、導入から運用に必要なサポートといった専門的かつ包括的なサービスも行っています。私たちは、誰もがいつどこにいても必要なものをすぐに製造できる未来を目指しています。